ノンセク おひとり様人生

ノンセクシャルでも幸せに生きたい。セックスできないアラサー女のこれまでとこれからのこと。

他人の金で食べる焼肉は本当に美味いか

去年の秋のことなんですけど、アセクノンセク界隈の方とのオフ会を東京で主催した、その帰り道の出来事です。


関西在住のわたし、東京に行くときはいつも新幹線利用。そのときもオフ会主催で荷物がすごく多かったんですよね。頭上の荷物棚には置けない大きいスーツケースだから、そういうときは車両の一番の後ろを取って、自分の座席の背中側に荷物を置くようにしてました。

その日は三連休初日ってことで新幹線も割と混んでたんですが、最初に予約していたより早い時間のもので帰りたくて空きを検索してたら、臨時ダイヤの増便で一番後ろの座席がたまたま空いていて、ラッキー!と思いながら変更予約をしたんですね。


オフ会楽しかったなぁ〜って思い出にふけりながら、ちょっと張り込んだ駅弁片手にいざ車内へ乗り込む。自分の予約した座席へ向かうと何故か70代くらいのおじいさんと40代くらいの男性が並んで座ってて。

え??そこわたしの席では??って思って何度もチケット見返すけど、新幹線の時間も座席も間違ってない。あ〜これきっと相手のほうが間違えてるんだろうな…教えてあげよ…と解釈して声をかけたんです。

 


席お間違えではないですか〜?とわたしが言うと、ハッとした顔で二人席の窓側に座っていた恰幅の良いおじいさんのほうが「すみません、すぐに退きますので…」と謝ってきた。顔が政治家のハマコーに似ていたので、ここから先はこのおじいちゃんを浜田さんと呼ぶことにする。

すると浜田さんの隣にいた色黒で細っこい男性が「ここの席っスよね!?すんません!」と立ち上がった。こちらは俳優の岡田義徳さんにそっくりだったので、岡田と呼ぶことにする。

岡田は浜田さんのお連れ様だけど、座席の予約は別にしている様子で「お邪魔しました、じゃあ浜田さんあとで!何かあったら電話ください!」と言い残し岡田はいそいそと斜め前くらいの自分の座席へ戻っていった。


このふたりどういう関係なんだろうな…苗字呼びしてたから親子って感じでもなさそうだし…と思いながら、すみませ〜んありがとうございます〜と声をかけて、スーツケースを置こうと座席の裏を覗くと、畳まれた車椅子が一台。

アレ?と思ってよく見ると浜田さんは靴を履いていない。その足は両方とも包帯でぐるぐる巻きになっていて、思いのほか小ぶり。普段看護師として働いている私はその状況をみて、あ〜〜なるほど…と思いました。

この人、きっと糖尿病性壊疽だ。


糖尿病性壊疽は糖尿病が原因で皮膚が腐る病気のことです。糖尿病は末期になると末梢神経障害といって、足先や指先の感覚が失われていきます。だから怪我をしても気付かないことも多いんですね。

そのうえ動脈硬化も進んでいて血流も悪いから治りも遅いし、血液中にお砂糖がたくさんあるのでバイ菌も寄って来やすいため、小さな怪我でもすぐ感染を起こします。足の裏なんかは見えないし不潔になりやすいぶん、トラブルがとくに多い。気付かないうちに足が腐って、最悪の場合は指を切り落とさなければならなくなるんです。

なんか突然のお勉強タイム…。


浜田さんはきっと重度の糖尿病患者さん。足を切るくらいだから、きっと網膜症もあって目もほとんど見えてないだろうし、透析導入していることもほぼ確実。そもそも車椅子だし、そんな人がひとりで新幹線で出かけるのは無理。岡田は介助者だったんだな…とそこでやっと理解。

病気になっても介助者つけてでもお出かけしよう!っていう気持ちが素晴らしいなぁ〜。病気とうまく付き合いながら人生楽しんでいらっしゃるのだなぁ〜と思いながら、浜田さんの隣の席に座る。

 


さっそく買ってきた駅弁を食べようかな〜と思いかけた矢先、浜田さんが「さっきは申し訳ありませんでした…自分はちょっとした障害者でしてね、ひとりでは身の回りのこともできない人間なんです」と話しかけてきた。

大体のことは把握できていたので、大丈夫ですよ〜気にしないでください!と声をかける。

「あなたは何をしに東京へ?ご旅行ですか?」と聞かれ、初対面のおじいちゃんに、セクシャルマイノリティ繋がりのツイッター仲間とコスプレハロウィンパーティーしてました!と本当のことは流石に言えないので、友達と会ってきたんですよ〜!と当たり障りのない返答をする。

「そうですか…わたしは職場のOB会に参加していましてね、みんなで帰る予定だったんですが、この身体でしょう?まごついていたら予定していた新幹線に乗り遅れてしまいましてね。車椅子もあるので一番後ろの席が良かったので、ここを選んだんです。お隣になったのも何かの縁ですし、ご迷惑でなければ少しお話しませんか?」と提案される。


そういった浜田さんの視線は全然あっていなくて、やっぱり目もよく見えてないんだなぁ…と確信する。紳士的な話し方でそう言われると、旅の最後に行きずりの会話も楽しいかも知れないな〜と思えてきて、お弁当を出すのをやめて、私で良ければお話しさせてください!と言って、浜田さんのお話を聞くことになった。

 


結論から言いますと、そこから新神戸駅までの3時間弱…ノンストップでずっっっっっとお話ししてました。買ってきたお弁当はもちろん冷めた。

浜田さんはほんとにいろんな話をしてくれました。その話題のどれもが私にとってはすごく楽しくて。自分のこと話すばかりじゃなく、私のことも適度に聞いてくれたりして、全然苦痛じゃなかった。

ご病気のこと聞く中で看護師してることも話したんですけど「看護師さんにはいつもお世話になっていて、頭が上がりません。本当に素晴らしいお仕事ですよ、大変だと思いますが是非続けてください」って言われて、ま〜〜悪い気はしない、満更でもない。気がついたら時間経ってた感じで…。きっとお話の仕方が上手いんだろうな〜。


お話をしていく中で浜田さんが某有名企業のOBであることがだんだん分かったり、子どもたちも医者弁護士役員みたいな感じだったりと、ふつうに聞いたら自慢かよ!って突っ込みたくなりそうなところも、全然嫌味じゃなかったのがすごい…圧倒的話術の勝利…。

もしかして私は普段だったら言葉をかわすこともないような人種の方とお話しているのでは??と思えてくる。アレ…この人…なんでグリーン車乗ってないの??そっか、席空いてなかったって言ってたっけか??


3時間ぶっ通しで喋っている最中、新幹線のワゴン販売のコーヒーを奢ってもらった。車内販売利用するの初めてでテンションが上がる。コーヒーそんなに得意じゃないけど、折角だしな…とおもって一緒に飲みながら、浜田さんが良く見えなくてコップ倒しそうになるのをずっと阻止するお仕事してた。

停車すると時々岡田が様子を覗きに来て「浜田さん良かったっスね〜お隣の方がめちゃくちゃいい人で〜!僕じゃ話し相手務まりませんもんね〜いつもお前の話はつまらんって怒られるんっスよ〜!」と言っていた。長旅で岡田も疲れていたんでしょうな、すごく有難がっていた。

 


大阪を過ぎたあたりで、携帯電話で斜め前にすわる岡田を呼び出す浜田さん。浜田さんに何か耳打ちされ、了解でーす!といそいそとカバンを開けた岡田はメモ用紙とペンを取り出してなにかを書き始めた。

「長い時間お話を聞いてくれてありがとう、あなたと過ごせてとても楽しかった。いい旅の思い出になりました。もしも気が向いたらまたお話をしましょう」そう言って渡されたのは、浜田さんの携帯電話の番号だった。


は〜〜なるほどなるほど…連絡先の交換も無理矢理な感じじゃなくてスマートだ…嫌味じゃない。きっと若い時はこの人相当モテたに違いない。たしかにこの時間は楽しかったけど、行きずりだからこその楽しさだし、きっと連絡はしないだろうなぁ〜なんて思いながらも、一応そのメモ用紙を受け取る。

そして思い出したように「今回の旅行で行った八ヶ岳がね!本当に美しくてね、ポストカードをたくさん買ったから君にもあげよう!」って浜田さんが急に言い始める。え??急になに??いや…さすがにそれは要らない…わたし八ヶ岳行ったこともないし…って思ったけど、あまりに嬉しそうに言うもんだから断り辛くて。まあ重たいものでもないしな…と思いながら、そのポストカードが入った封筒もとりあえず受け取る。

 


新神戸に着いて、一緒にお話できて楽しかったです〜!コーヒーもご馳走さまでした!おふたりとも気をつけて帰ってくださいね!と伝えて、新幹線を降りる。

いろんな話も聞けたしまあ悪くない時間だったな〜と思いながら、結局食べられなかった冷めた駅弁をみてすこし空腹を覚えた。でも不思議と気分は良くて、ご飯も食べずに知らないおじいちゃんと3時間喋るとか…意味わからんすぎるな?と、ひとりクスクス笑いながら家路を急ぐ。


手に持ったままだったポストカードと電話番号が書かれたメモ用紙をカバンにしまおうとしたとき、ふと八ヶ岳のポストカードがどんな写真なのか気になって、わたしはおもむろに封筒を開けた。

 

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人もまばらな夜の新神戸駅で「嘘やろ?」と思わずデカめの独り言を呟いてしまった。

なにこれ、なにこれ、どういうこと?

間違えてお金挟まったまま私に渡してしまったとか?でも冷静に考えてみたら、そんなことまずあり得ないわけです。

まさかの出来事に心臓がバクバクして呼吸も早くなる。もちろんビックリしたのもあるけど、最初に押し寄せてきたのはただ【怖い】という感情でした。


まずその一万円の意味が全然分からなくて、混乱ですよね。話し相手になってくれてありがとう!という気持ちのお支払いなんだろうな?という予想はある程度つくけど、コーヒー奢ってもらったしそれで充分なのに。

明らかにおかしい金額のお金を意図しない形で受け取ってしまったことに恐怖を覚えるわけです。なんか知らんけど1万円もらった!やった〜〜!と素直には喜べない、悪いけど。

わたし自身が一万円稼ぐぞ!って思ってやったことじゃないのに、それに対して一方的にお金支払われても違和感しかないし、気持ち悪いし怖いし悲しい。


あとは、わたしは今回の旅の終わりに浜田さんとお話できてとても嬉しくて、こんな偶然もあるんだなぁ〜っていういい思い出として、自分の心に留め置くつもりだったその3時間に、3300円の時給が付いてしまったことが本当に許せませんでした。

プライスレスなものとして大事にしたかった思い出なのに、その一万円のせいでわたしの行為が「仕事」になってしまったような気がして、ものすごく嫌で仕方ありませんでした。

浜田さんにとっては、看護師免許もってる介助者に見えたのかな?って思ったら、だんだんムカついてきてその1万円破り捨ててやろうかと思ったけど、それは流石にできなかった。お金握らされてシータをムスカの元に残して家路を急ぐパズーの気持ち今ならめっちゃわかる、お金、なんやかんや、大事。


盛大に心にモヤつきを抱えながら、帰宅したわたし…居ても立っても居られなくって、母と姉にすぐ浜田さんのことを話しました。

ムカつきまくってる私とは対照的に2人には、爆笑やねんけど〜そんなことあるねんな〜?良かったやん!今度なんか奢ってな〜!くらいの軽いノリで返されてしまって、めちゃくちゃ拍子抜け。

たぶん、世界的大企業の役員を務めた浜田さんの1万円なんて、わたしにとっての100円くらいの価値しかないと思うんです、相対的に。そんなの全然大したことじゃない。セレブの戯れにビビり倒してる、ただの庶民のわたしっていう構図であることも、理解してるつもりなんですけど…なんかね。


姉からは「それだけ地位も名誉もある人やから、普段みんなから媚びへつらわれたり、世話してもらうのなんか絶対慣れてんだよ、そのおじいちゃんは。

せやけど、偶然出会っただけのそんなこと何にも知らないお前が、ただのおじいちゃんとして自分に親切にしてくれたのが純粋に嬉しかっただけなんじゃない?そのお礼の仕方が諭吉ってところはもう、価値観の違いやからしゃーないって、許してやれよ…」と言われる。

母からは、「アンタの性格やったら素直に喜べないものわかる気がするけどな〜?電話番号もらったんやろ?そこまで思うなら電話してお礼くらい伝えたら?」という助言をもらう。


お礼ってなんや…別にわたしはこの1万もらって嬉しくもなければ感謝もしてないんですけど…と正直思ったけど、確かに黙って受け取ったままにしておくのも、なんか違うような気がして。こんなものもらう権利は私にはないってこと、ちゃんと伝えるだけでも伝えなきゃいけない気がして。私は千切られたメモ用紙に書かれた浜田さんの番号に連絡することに決めたんです。

今思えば、それが全部の間違いだった。

 


もう時間も遅かったし、電話は流石に失礼かなって思って、慣れないメッセージ機能を使って浜田さんにお礼を送る。

家に帰って頂いたお土産をみたのですが、とても驚いています。コーヒーをご馳走になっただけで充分でしたし、私にとっても楽しい時間だったので恐れ多いです…と、一応のお礼的なものを伝えた。

しばらくすると、浜田さんから電話がかかってきて、まあそうなるわな…と若干後悔しながらながら重たい気持ちで通話ボタンを押す。


メッセージありがとう!家のものに読んでもらいましたがね、目が悪いので自分で返事をを書くのは難しいので、お電話させてもらいました。予想通りそう言って、浜田さんは話はじめた。

改めて1万円のことについて、そんなつもりじゃなかったんです…こんなの困ります…と伝えてみたけど、浜田さんは「さて?なんのことですかな?」と言いながらとぼけていて、渡した事実自体を認めようとしない。

なるほどなるほどそう来たか…これがセレブの戯れってやつか。クソめんどいやんけ、私はマジで困ってんだよ。前時代ならモテたんでしょうね…って思いながら、またまたぁ〜!って愛想笑いするしかないの、正直しんどい。でもそう言われてしまうとそれ以上のことは何も言えなくて。


そしたら浜田さん、私との話を本当は一緒に帰るはずだったOB仲間や後輩たちにも伝えたみたいで「皆んながあなたにひと目会いたいと言っていましてね?うちの若いのにもね、まだ独身の奴が居ましてねぇ〜!」とか余計なこと言い出す。

「そうだ!今度そいつらも連れて行くので伊豆へ一緒に旅行行きませんか?もちろん旅費はこちらで全額出します。あなたの友達も数人連れきてくれて構いませんのでね。手が早い男ではないですから安心してください。もしも不安でしたら、今度神戸で美味い肉でも食いながら事前面接会でも開きましょう」とかなんとかかんとか。

おい待てコラ待て、なんやこれ、予想以上にめんどくさいことになってきたぞ、なんやこれ、勘弁してくれませんか、なんやこれ。


お気持ちは有り難いですけど、旅行は流石にどうかと思いますし、旅費を出してもらうのもおかしい話だと思いますし、ちょっと〜って必死に断りにかかる。

なんで急にそんな話になりましたか?

わたし、浜田さんになんだと思われてるんだろう?って純粋に疑問がわいてきて。


もしも偶然乗り合わせた私が男だったら?看護師じゃなかったら?3時間も話すことなかったのではないか?そんな風にも思えたんですよね。

結局のところ、私が女で看護師だから、こいつは自分にとって都合がいいとか、そばに置いておいたら便利そうだとか、そういう風に思われてたんじゃないの?1万円と電話番号渡したのだって、そういう気持ちがあったからじゃないの?って気がしてきて急激に寒気が走る。

そういう私だって、浜田さんがもっと若くて元気な男性だったら、きっと無視決め込んでたんですけどね。ご病気があって障害者で、私が何か力になれたらいいなって思ったことは確かだし、年齢的にも体力的にも私とのワンチャンを狙ってくることはないだろうな!っていう安心感があったのは事実。しかしここへきて急に地雷踏み抜いて来られるとは。


それからというもの、事あるごとに電話がかかってくるようになってしまう最悪の展開。そして浜田さん、伊豆の話を全然諦めてくれない、めっちゃしつこい。とてもうざい。

1万でここまでビビり倒してんのに、旅費とか白目向いて倒れるわ。そんな義理どこにもないし、考えすぎかも知れんけど、その後輩とやらになんかされたとしても、お金出してもらってたら文句言えんやんそんなの。

面倒だから着信無視することも多かったけど、これほっといたら今後もずっと掛かってくることになるんだよな?ちゃんと迷惑だって伝えたほうがいいよな?絶対絶対行きませーん!ってキッパリハッキリ言ってやろう!そうしよう!って思って、電話に出る。

今日は病院へ行って透析してきたんだよ〜!っていう、そりゃそうでしょうね?っていう近況報告を聞いて、やっぱり始まるのはいつもの伊豆の話…。


来たぞ、ここだぁ〜〜!!と狙いを定めて、そのことなんですけど、私は行きたくありません!って言い切る。そしたら、なぜ?どうして?って聞かれまくるので、懇切丁寧に私が伊豆に行きたくない理由を順番に述べる。

まず一度しか会ったことのない人と旅行に行くのは不安だし気も遣うので嫌なこと、浜田さんに旅費を出してもらう義理はどこにもないこと、特に恋人も要らないし後輩を紹介してもらっても迷惑なこと、色々と金銭感覚や社会的な立場が違いすぎて怖いし、お友達として浜田さんとお付き合いするのは難しいことを、ぜーんぶ正直に言いました。

話を聞いた浜田さんはものすごく驚いていて、私がそんな風に考えていたなんて微塵も思ってなかったみたいでした。忘れもしません、そして浜田さん私にこう言ったんです。

 


「どうして急にそんなことを言い出すんだい?君らしくもない…」

 


その言葉を聞いて、自分でも信じられないくらいの怒りがこみ上げてきて、気がついたら「君らしいってなんですか!?あなたが!わたしの!何を知ってるっていうんです!?調子に乗らないでください!!」って電話越しに怒鳴っちゃった〜〜!!!!

家で電話してたので隣で聞いてた姉は「ヒィ〜〜2時間ドラマのセリフかよ〜〜」って涙目で爆笑してた。やめろ、恥ずかしいから。


ま。今思い出したら笑い話なんですけど、そのときはほんとにクソほどムカつきましたからね。他人が私をどう見ようと、それはその人の勝手だし自由にしてもらっていいけど、自分にとって都合のいい私を私に押し付けないでほしい。

婚活で挫折して自分のことが何もわからなくなって、その中でノンセクシャルという言葉に出会って、自分ですら自分を正しく知らなかったことに驚いて。もっと自分を見つめなくちゃ…って思った経験をして、自分らしさをもう一度ゆっくり時間をかけて作り上げてきた私にとって、【私らしさ】というものを他人に決めつけられることが、ほんとにほんとに許し難かったんです。


浜田さんはきっと、私とは違う世界で生きているだけで、何か間違っている訳ではないとも思うんですよね。価値観の違いで分かり合えないだけで。突然20代そこそこの小娘に怒鳴られて意味わからん…ってなってるんだろうな、という感想。

 

 

神戸牛の話をされたときは心揺れかけたけど、ほんとにホイホイ付いて行かなくて良かったなって。今回のタイトルにも選んでみたんですけど、他人の金で焼肉が食いたい…っていうの、よく聞くじゃないですか??

みなさんもそう思います??

お肉大好きだからタダで焼肉食べられるなら私もめっちゃ嬉しい、お店からこちらサービスです!って言われるなら喜べるけど、奢ってもらう焼肉って個人的にそんなに好きじゃないんですよね。


店員さんが焼いてくれるパターンの店もあるけど、ほとんどの場合は自分で焼くじゃないですか?奢ってもらったとしたら、私は今日は私が焼かなければ…奢ってもらってるんだから焼かなければ…って使命感に確実に駆られる。

そして、相手の好きな部位は??焼き加減の好みは??って気にしすぎて、自分が食べてる焼肉の味なんて分からなくなっちゃう気がするんですよね。

それなら気心の知れてれる仲間たちと、ワイワイしながら自分が稼いだお金で、店員さんにすみません網替えてくださーい!って何回も言って、大好きなタンを永遠に食べ続けたいと思ってしまう。美味しいんだもん、タン。


もともと誰かに奢られたり施されたりすることがすごく苦手。わたしには何も返せるものがないのにって思ってしまう。それを相手に伝えると、いつも感謝してるからそのお礼だよ!って言われることもあるけど、わたしはそんなつもりないから困ってしまうことも良くある。

職場の先輩だったり、明らかに目上の人とかならまだ受け入れやすいんですけど、婚活してたときは相手に奢ってもらって、それでよくモヤモヤしてた。

結局、奢ってもらうとわたしの中で借りカウントされていくので、やっぱりこの人違うんだよな〜って思っても次のデート断り辛かったりしてました。こいつ散々メシ奢ってやったのに!って思われんじゃないかなとか考えてしまって…。


タダより怖いものはないって言葉あるじゃないですか?それを結構信条にしているところはあるんですよ。

もちろん奢ってくれる人が悪意を持っている人ばかりとは限らないんですけど、こないだ焼肉奢ってやったんだから一発やらせろよ…って言われる可能性だってないわけじゃない。ハァ?そんなの知らんし!って正直思うし、そう答えることができたらそれまでなんですけど、ふ〜ん、まあ一理ある…って若干思ってしまうところもあるんですよね。

それでも絶対に自分の身体は渡さないけど、あまりに自分の中に返せるものがなさすぎて、普段だったら絶対に嫌だし断れることが、キッパリ断り辛くなるというかなんというか。他人から施しを受けるというのは、そういうことだと思ってる。自己肯定感が低すぎてそういう現象が起きてることはほぼ間違いない。

最近はプロの方もいる奢られの世界ですけど、もうそんなん私に言わせてみれば恐怖でしかない。人から奢られて生計立てるとか、背後からいつ刺されても文句言えなくない?大丈夫?命惜しくないの?って思っちゃう。行き過ぎなのも分かってるけど、そう思っちゃう。

 


でも、奢りたい人の気持ちはちゃんと私も分かるんですよね。というかむしろ好き、なんやかんや奢りがち。そこがすごくアンビバレンスなんですよね〜〜。お金ないから今月遊べないや…って友達に言われたら、いいよ!わたしが奢るから!って連れ出して遊んでしまうタイプだったりする。

昔それやりまくってたら、だんだん私が奢るのが当たり前になって、相手からお礼すら言われなくなってモヤモヤしてナニコレ?って思った。お礼言われたいから奢ってるわけじゃないのに、私はどうしたいんだ…って悩んでるうちにその子からマルチに誘われて、これは…アカン…と縁切った過去。授業料まあまあ高かったです、はい、反省。


でも誰かに奢るのってすごく気持ちがいいんですよね。私はお金出すだけだからそんなに時間も労力いらなくて、それでいて相手に恩が示せて喜んでもらえる…。めちゃくちゃ手っ取り早いんです。

だけどそれって気持ちがちゃんとこもった恩返しとして成立してるんだろうか?って疑問に思うことは多い。相手がどう受け取るのか、それはその人次第ではあるんですけど、お前ごときに奢られてたまるか!お金くらいわたしも持ってるし!バカにしてんのか!って、思われることもないとは言えないし、奢るだけでお返しできた!って満足してる自分、よくないな〜って最近は考えてる。

いつもこういう恩をあなたに感じていて、それをどうしてもここで返したくて、今日は手持ちもあるので、わたしに是非奢らせてください!お願いします!くらいの説明をしてもらえたら、相手も悪い気しないのかな?とかね…。レジ前で実際このやり取りされたら、店員さんめちゃくちゃめんどくさいと思うんですけどね??気持ちの問題ね?!

 

お金、とても大事、無いと生きられない。だけど、貰うことにまだまだ慣れない。社会人経験も長くなってきたけど、結局払うことばかりに慣れてしまって、貰うことの意味をちゃんと理解できてない感覚がある。

絶対的な価値として社会にあるものだけど、相対的な価値は人によって全然違うし、人間関係の中でお金を扱うのはとても難しいなって感じざるを得ない。

だけど結局はそれも気持ちや思いの変換だから、そこさえきっちり相手に伝わっていれば問題はないのかなって思ったりする。


周りから与えられるものを、もう少し素直に受け入れることができる自分になれたらいいな〜って日々思うから、お金だけに頼らずに、周りの人に感謝の気持ちや好きの気持ち、伝えていきたいですね!

 

 

久しぶりに長めのブログ書いた疲れた!

ここまでお読みくださったみなさんもお疲れ様でした、大変でしたね、ありがとうございました!!ずっと書きたいな〜って思ってあっためてたお話だったので、更新できてとても嬉しいです。


取り急ぎ、だれか一緒に牛タン食べに行こ。